カカオの豆知識
- 学名《神の食べ物》の由来
1753年、カルル・フォン・リンネというスウェーデンの科学者が、カカオの木の学名を「テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)」と名付けました。テオブロマとは、theos《神》とbrom《食べ物》というギリシャ語を合わせたものです。
なぜ《神の食べ物》? 実は、1684年にパリの医師ジョゼフ・バショーが書いた論文に、「チョコレートは神々の食物としてふさわしい」とチョコレートを賞賛する文章があり、これを読んだリンネが「テオブロマ」と名付けたのではないかと言われています。
それにしても素敵な名前をつけたものですよね。- カカオの種類
カカオには、クリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種の3種に分類されます。
クリオロ種はメソアメリカが原産。クリオロはスペイン語で「土着の」という意味です。クリオロ種は、フォラステロ種に比べて苦みが少なく、優れた味と香りをもっているので、昔から上質のカカオとされてきました。かつてマヤやアステカの時代、そしてヨーロッパの宮廷で飲まれていたのは、こうした上質のクリオロ種です。しかし自然の変化や病気に弱く、実の数も少ないという弱点があるため、チョコレートが普及するとともに、栽培しやすいフォラステロ種が好まれるようになり、現在ではカカオ生産量の80%をフォラステロ種が占めています。フォラステロ種の原産地はアマゾン川流域などで、フォラステロは「異国の」という意味。トリニタリオ種は、クリオロ種とフォラステロ種を交配させた変種で、18世紀半ばに西インド諸島のトリニダード島で誕生。トリニタリオ種は中間の性質をもち、主にブレンド用として利用されているようです。
カカオ豆は品種だけでなく、産地や栽培された年によっても味が異なるので、各チョコレートメーカーやショコラトリーでは、そうした豆の特徴を見極めながら豆を厳選し、作るチョコレートによってブレンドを変えているのです。- カカオはなんとも不思議な木
たぶん、カカオの木を描くのは難しい。ふつう木を描くときは、幹から太い枝が伸びて、そこからまた細い枝が枝分かれして、その細い枝に花や実がついている様を描くでしょう? ところがカカオは、常識破り。幹や太い枝に直接、花や実をつけるんです。
不思議なことに、カカオの木は、幹から必ず5本に枝分かれするのだとか。そして1年中、白くて小さな花をつけています。1本の木に平均6千個の花をつけるそうです。「カカオポッド」と呼ばれるカカオの実は、直径6〜15センチ、長さ15〜40センチ。ラグビーボールか、それ以上の大きさです。それが幹からニョキ、ニョキと“生えてる”ところを想像してみてください。しかも1本の木で50個もの実がなるんですよ。ちょっと不格好で、笑っちゃいますよね。
実の色も独特で、最初は緑色で、やがて黄色やオレンジ、赤褐色、紫色と変化していくそうな。いろんな色に飾られて、クリスマスツリーのように賑やかでしょうね。- カカオの栽培条件
カカオの実の大雑把そうな外見とは裏腹に、カカオはとてもデリケートな木で、非常に栽培が難しい。栽培に適しているのは、赤道を挟んで北緯20度と南緯20度の間。しかも、最低気温が16度以下にならない高温多湿の土地。年間雨量や平均気温など、厳しい栽培条件をクリアした土地でしか育たないんですよ。
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